子供みたいに駄々をこねる私。

昔は演奏会の度に観に来てくれていたのに、大きくなって、演奏会の回数が増えるほど、二人は来なくなっていた。

『わがまま言わないの』

『琴葉の演奏を楽しみにしている人もたくさんいるんだぞ』

私はほほを膨らませる。

『そんな知らない人どうでもいいもん。二人に聴いてほしいだけだし』

『もう、いつまでも子供なんだから』

お母さんはため息をつく。

『待てよ。琴葉の公演は20時からか。俺達のは19時には終わるし、急いで行けば間に合うかも』

お父さんが言う。

『ほんとにー!?』

私の顔はぱぁっと明るくなる。

『お父さんは甘いんだから』

お母さんは私の頭をなでる。

『いい琴葉。あなたはとても特別なものを神様からもらったのよ』

『共感覚のこと?』