『合コン後の喧嘩の火種』


「ったく!なんで、アイツはああなのよ!!」

 生チュウを一気に飲み干し、琴実はカウンターにダンッとジョッキを叩きつけた。

 十中ハ九アイツとは、『たすく』の事だろう。

「おい、琴実。飲み過ぎだぞ」

「うっさいわね!
ヒデは、ムカつかないの?
薫!おかわり!!」

 駄目だ、こりゃ。
 人が心配してやってんのに、酷い荒れ方だ。

「うっせえのは、おめぇだ。
他の客もいんだから、ちったぁ大人しくしろ」

 カウンター越しに、眉間にしわを寄せながら琴実の前にジョッキを置くのは、荒木薫。顔から上、ピアス人間。

 まあ、平たく言えば、ガキの頃の悪仲間。

「だいたい、あんたが他校に行っちゃったから悪いんでしょうが、薫!
薫がいれば、たすくだって暴走しないんだから」

 薫にまで絡む始末。琴実、相当キてるな。

「んだよ、俺に文句があるなら締め出すぞ、コラ」

 ゴン。凄む薫の脳天に落ちる稲妻、

「かおちゃん、てめー、女の子に何言ってやがる!!」

居酒屋「あきら」名物、愛の鉄拳。

「ってーな!!ババアはすっこんでろ!琴実は女としてカウントされねーんだよ!!」

 おい、薫。その琴実を彼女とする、俺の立場はどうなるんだよ。