そんなある日。
仕事終わりに、マスターから電話が入る。

『お疲れ月奈ちゃん。
ちょっと頼みがあんだけど、店に来れない?』
と呼び出され。

「うんいいよ、今から行くね」
その日はCyclamenの定休日だったから、あの2人と鉢合わせる事もないし。
マスターの頼みだから、あたしは二つ返事でOKした。


店に着くと。
カウンターには、ベーコンとレタスの柚子胡椒パスタやら、海老とアスパラのチーズ焼きやら、あたしの好きなメニューが並んでて。

「どうしたの?これ…」

「いや余った食材で調理したんだけど、食べきれないと思ってさ〜。
ドリンクサービスするから、手伝ってくんない?」

なるほど、そーゆう事か…
きっとマスターは、あたしの居場所を確保してくれたんだ。

「…いいよ。
ちゃんと料金取ってくれるなら、手伝ってあげる」

「マジか!
じゃあ有り難くいただきまーすっ」

マスターのそういう、あたしの性格をわかって遠慮しないとこが好きだ。
それに…


「んんおいしっ!
ああ〜仕事の疲れが吹き飛ぶ」

「そりゃよかった。
諌さま様だなっ」

「ほんとそれ。
ありがとね、マスター。
せっかくの休みなのに、貸切オープンしてくれて」