「あ、いい雰囲気ですね~。
こういう店、私、好きです。
オムライス頼もうかな」
飾ってあるものものも昭和な感じの……
いや、明らかに新しい店なんだが。
雰囲気、昭和レトロな店だった。
ちょっと色褪せた風に見せている深緑のふかふかの椅子に腰掛け、桃は手書きのメニューを眺めた。
同じ木製のメニュー表を見ていた来島は、
「私、ナポリタン 。
此処のって、鉄板に載っててさ。
上にどーんと大きなソーセージと目玉焼きが載ってんの。
昭和半ばの喫茶店のメニューみたいで。
もうほんとにベタすぎて、逆にあんまり見ないなって感じのナポリタンで懐かしくて好きなの」
と言う。
「いや、懐かしいって、昭和の半ばには、まだ生まれてなかったんだけどさ」
と呟いたあとで、
「で、こう来たら、ドリンクはやっぱり……」
と言うので、
「クリームソーダですよね」
と桃が笑うと、
「クリームソーダね」
と来島も言った。
メニューを閉じながら、
「あら、気が合うじゃない」
と来島がこちらを見る。



