箱崎桃にはヒミツがある

 だが、こいつと付き合うとか結婚するとかは問題ある気がするな、と貢は思っていた。

 今でさえ、治療中も箱崎桃のことを考えすぎて、つい患者さんに、
「全身麻酔でなくていいですか」
と訊いてしまい、

「そんな重症なんですかっ?」
と怯えられたりしているのに。

 ……こいつと知り合ってからの俺はずっと挙動不審だ。

 こいつのCMが流れる時間を知りたくて、来島さんに何度もメールをしてしまったり。

 こんな得体の知れない自分になるくらいなら、知り合わなきゃよかった。

 時間を戻して、こいつが治療に来ないよう、休診中の札を出したいな……と横目に桃を見ながら貢は思った。

 桃はまだカリカリとカシューナッツを食べながら、しょうもない話をしていた。