箱崎桃にはヒミツがある





 桃は貢とベリーヒルズビレッジにある会員制のバーに来ていた。

 屋上庭園の横にある高層ビルにあるので、さっきまでいた場所がよく見える。

「綺麗ですね」
とキャンドルの灯りと少しのダウンライトだけの店内から、桃はライトアップされた屋上庭園を見下ろし言った。

「あの、もしかして、他の見合い()けになると思っていた私との見合いが駄目になると思って、機嫌が悪かったんですか?」

 他に彼が不機嫌になる理由などない気がして、桃はそう訊いてみた。

「……そうだ」

「大丈夫ですよ」
と桃は微笑みかける。

「バッチリ見合いしますよ。
 しばらくスケジュールもゆったりですし」

「……大きい仕事決めたのに、そのあとのオーディションで失敗しまくったからか」

 痛いところを突かれ、桃は、うっ、と黙る。

「来島さん、よくお前のマネージャー投げ出さないな」