箱崎桃にはヒミツがある





 箱崎桃の一日は一杯の白湯から始まる。

 また一周して戻ってきたのだ。

 初志貫徹だ。

 いや、なにも貫徹してないが……と思ったとき、スマホが鳴った。

 さっきから立て続けに友人や親類縁者からメールや電話が入ってきていた。

 一番早かったのは、実家の近所のおばあちゃんで、早朝、CMを見たらしく、感激して、慣れないメールを打ってきてくれたのだ。

「よかったよ~、桃ちゃん」
と一生懸命絵文字を探して打ってくれたらしい、たくさんのハートマークを見て、

 このメール、一生大事にしよう、と桃は思った。

 ……ところで、このCM。

 貞洋先生の家や病院のテレビにも流れるよね。

 恥ずかしいから、見られたくないな~。

 木曜からですとか言わなきゃよかったな、と思った昼、貢からメールが来た。

 ひっ、と固まった桃は、なかなかそのメールを開けない。

『お前(ごと)きが恐れ多くも全国放送のCMに出るなんてな』
と鼻で笑うような言葉が並んでそうな気がしたからだ。