箱崎桃にはヒミツがある

「来島さんとは知り合ったばかりなんだ」

 目はまだ隠されたパクチーを見ながら、貢は言ってきた。

「なんだかわからないが、ぜひ、お前と結婚してやってくれと頼まれた」

 来島さん~っ。

「なんかすごい仕事やったらしいじゃないか」

「はあまあ、私にしては、ですけど。
 放送はまだなんですけどね、大きなCMの仕事をちょっと」

「そのまま調子良く行くかと思いきや、相変わらずのボケボケな感じでオーディション連敗して、来島さんは絶望してるらしいぞ」

 ……それでこの間、もう結婚してやめたらとか言ってたのか、と桃は気づく。

 いい仕事のあと、波に乗れなかったので、余計、ショックだったのだろう。

「来島さんには申し訳ないなあ、と思ってるんですけどね。
 どうもオーディションって、苦手で。

 あのCMの仕事は向こうから、言ってこられたんですよ。
 ショーで私を見てくださったらしくて。

 あんまり目立つ仕事は好きじゃないんですが……」
と言って、

「お前、なんでモデルやってんんだ……」
と言われる。