箱崎桃にはヒミツがある

 来島は桃が言っていた通り、美しいという言葉が似合う男だった。

「あなたみたいな人とお見合いだなんて。
 もう絶対、お見合いして結婚した方がいいわよね、桃。

 イケメンだし、真面目そうだし、デカイ桃とでも身長釣り合ってるし。

 向いてないモデル続けてるより、よっぽど明るい未来よ」
と来島はジムのあと寄ったバーでそう言ってきた。

「箱崎桃、いいモデルじゃないですか」
と仁は言ったが、来島はダメダメと細いグラスのビールを呑みながら手を振る。

「イライラするのよ、あの子見てると。
 あれだけの才能と華がありながら。

 肝心なところでパッとしないっていうか。

 オーディションで実力を発揮できないダメモデルだから。

 発言すべきところでしなかったり、あの子、ほんとにワンテンポずれてんのよっ」

 あ~、イライラするっ、と言って、冷えたビールを一気呑みする来島を見ながら、貢は愛されてんな……と思っていた。