箱崎桃にはヒミツがある




「桃っ、先生っ。
 早くっ。

 もう放送よっ」
と大型テレビの前のソファから来島が叫ぶ。

 今日は事務所の人間も呼んで、桃の部屋でパーティがてら、桃の出演した番組を見ることになっていた。

 ベリーヒルズビレッジが二人の出会った場所なので、なんとなく離れがたく、桃のレジデンスに今は二人で住んでいる。

 外のハンギングチェアに座り話していた(さき)たちを来島が、
「早く来なさいよー」
と呼ぶ。

 社長たちは壁掛けの大型テレビの前のソファで息を呑み、そのドキュメンタリーが始まるのを待っているようだった。

 番組のテーマソングとともに、この家が映り、みんなが手を叩いて喜ぶ。

 ナレーションが入った。

「箱崎桃さんの一日は二杯の白湯ではじまる。
 歯科医であるご主人と桃さんの分だ」

「飲んでないくせにーっ」

「私のアサイーとチアシードと、スピルリナはーっ?」
とそれぞれが叫んでいる。