箱崎桃にはヒミツがある





 そんな昨夜の出来事が夢となって現れたようだ、と桃が来島に言うと、

「いや、なにやってんのよ、あんた。
 先生、それ、愛の告白しようと思ってたんじゃないの?」
と言ってきた。

「えっ?
 先生が?

 なんで私に?」
とつい、訊いてしまう。

「なんでって、あんたが好きだからでしょーがっ」

「好かれるようなこと、なんにもしてませんけど」

「……世の中にはね、桃。
 完璧な人間より、どうしようもない人間の方が気にかかってしまう、面倒見のいい人間がいるものなのよ」

「ああ、来島さんみたいな」
と言うと、

「そうね。
 私もついつい、あんたの面倒見ちゃうのよね」
と来島は頷いていた。

 いつもありがとうございます、と頭を下げたあとで、桃は言う。

「でもそれ、恋じゃないですよね?」

「それが恋になってしまう物好きもいるのよ。
 ほら、私みたいに」