桃のイメージでは、街角のチェーン店の焼肉屋か。
ガード下辺りにある焼肉屋で、仕事を終えたサラリーマンや工事現場のおじさんたちに混じって、生ビールのジョッキをグイッ、だったのだが。
時間も遅かったので、結局、ベリーヒルズビレッジにある鉄板焼きの店で、上品に呑むことになってしまった。
カウンターで肉を焼いてくれているシェフの後ろの夜景を眺めていると、貢が訊いてくる。
「そもそもお前はガード下で仕事帰りのおじさんたちが呑んでる焼肉屋に行ったことがあるのか」
「一回だけありますよー。
大学のとき、友だちがグルメ本に、ああいうところが穴場だって書いてあったって言い出して。
お店のおばちゃんが若い女の子が来るの、珍しいねーって言って、何処かで烏龍茶買ってきて奢ってくれました」
「店に烏龍茶がないとか。
それ、本気でおっさんしか来ない店だろ」
「はあ。
なんだかものすごい活気がありましたねー」
と言いながら、桃は小洒落たグラスに入った何処かの国のビールを呑む。



