箱崎桃にはヒミツがある





 クローゼットに服を片付け、桃が庭に戻ると、貢がハンギングチェアで揺れながら、苦悩していた。

 煉瓦の小道を歩いて貢の許に行きながら、桃は、

「ど、どうしたんですか、先生」
と訊く。

 お気に召しませんでしたか? ハンギングチェア。

 月明かりと、庭に点在するソーラーライトの明かりと、部屋の灯りにより、ぼんやりと照らし出された庭の雰囲気は悪くないと思うのだが。

 高層階でもないので、風も程よく心地いいし。

 だが、貢は世を嘆いているような顔で呟いている。

「……俺はこんなところで、なにをしてるんだろうな」

 はあ、釣り椅子で揺られてますね。

「まだ、お前とは見合いもしていないのに、部屋まで上がり込んで。
 子どものように、こんなものに乗って喜んでるとか……」

 そんなに喜んでらしたんですか、よかったです。