箱崎桃にはヒミツがある

 


「……何故、気づかれたんでしょうね。
 いつもわからないみたいなのに」

「おまえのどうしても肉を食いたい気持ちが顔に現れて、普段より、キリッとして見えたんじゃないか?」

 そう貢に言われながら、桃は自分の家の鍵を開けていた。

 二人とも心は焼肉、と決まっていたが。

 逃げたついでに服を自宅に置いてこようという話になったのだ。

 このまま、先生に持ってもらってるのも悪いしな、と思いながら、扉を開け、
「ありがとうございます。
 どうぞ」
と桃は言ったが、貢は玄関で紙袋を渡してきて、中に入ろうとはしない。

「お茶でもお淹れしますよ。
 それとも、やはり、すぐ肉ですか。
 すぐ肉ですよね」

「……すぐ肉なのはお前だろう。
 いや、一人暮らしの女性の部屋に入っては悪いかと思って」
と珍しく恥ずかしそうに言う貢に、桃はうろたえる。