箱崎桃にはヒミツがある





 向こうから、すごい目力の人がやってくる……。

 夕方、今、まさに書店に入ろうとしていた桃は、思わず足を止めていた。

 ベリーヒルズビレッジのショッピングモールの中を女子以外にも振り返られながら、貢がやってくるところだった。

 桃の前で足を止めた貢が訊いてきた。

「本でも買うのか?」

 はあ、本屋さんですからね、と思いながら、桃は、まつげが上がったことにより目力が増した貢から目が離せない。

 そのまま、
「すみません。
 予約、取り消されなかったんですね」
と桃は謝った。

「いい。
 お前がやっていることを体験してみたかったんだ。

 確かにちょっと大変だった」

「そ、そうですか……」

 まつげパーマの代金払います、と言って、断られる。