「ごめんなさいね。あまりお役に立てなくて」


話しを終えて、玄関までお見送りしてくれた女性が申し訳なさそうに言う。


「いえ、突然押し掛けてしまったすみませんでした」


梓は深く頭を下げる。


突然来て、昔の傷口をえぐるようなことをしてしまったのに、女性は終始優しかった。


きっとカナさんも優しい人だったのではないかと思わせてくれた。


「なにかわかったら、状況を聞かせてね? 私も、ずっと気になっていることだから」


「はい。必ず報告しにきます」


梓は女性と約束を交わして、アパートを後にしたのだった。