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「梓、目の下まっ黒だけどどうしたの?」


登校してすぐ、挨拶も抜きに玲子が駆け寄ってきた。


「うん……ちょっとね……」


厚彦のせいで眠ることができなかったとは言えない。


今でも厚彦の声が脳内にこびりついていて、頭が痛くなってきている。


「眠れなかったの」


「うん。全然」


隣りに立つ厚彦を睨みながら返事をする。


しかし、厚彦は涼しい顔で窓の外を眺めている。


「1時間目から体育だけど、大丈夫?」


「あ、そうだっけ……」


黒板の横に張られている時間割を確認すると、確かに1時間目から体育が入っている。


この寝不足の状態で体を動かすのは得策ではなさそうだ。


「しかも休めないよ」


休むから大丈夫だと言おうとしたところ、先に玲子に言われてしまった。


「え?」


「忘れたの? 今日はスポーツテストの初日だよ?」


(あ……)


そうだった。