死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?

厚彦はジッと自分の体を見下ろしているけれど、特に変化は見られない。


「今、焼かれてるみたいだ」


(え……)


「体で感じるんだ。辛くはないけど、どんどん体が消えていく感じがしてる」


(そんなことってあるんだ……)


返事をしたいけれど、グッと我慢した。


最後になにかお別れの言葉を……。


「あれ? おかしいな」


突如厚彦が首をかしげた。


自分の手を握ったり開いたりして確かめている。


(どうしたんだろう?)


「俺今、ここにいるよな?」


梓に確認するように聞いてきた。


梓は周囲に気がつかれないように、小さく頷く。


「あれぇ? おかしいなぁ」


厚彦は首をかしげたままブツブツと呟く。


一体なにがおかしいんだろう?


「俺、まだ成仏しないみたいだ」


(は……?)


厚彦の言葉に、梓は目を見開いたのだった。