死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?

「厚彦の心残りってなに?」


教室内のざわめきにかき消されるのをいいことに、梓は普通に質問した。


「さぁ、なんだろうなぁ?」


厚彦は腕を組んで考え込むけれど、理由が思い当たらないのかピンときていないみたいだ。


「なによ、自分のことになるとわからないんだから」


梓は苦笑いを浮かべる。


でも、それも厚彦っぽくて悪くないと思う。


「でもさ、厚彦くんもこのままってわけにはいかないんじゃないの?」


玲子は母親がつくってくれた甘い卵焼きを口に入れて言う。


「……そうだよね」


厚彦だっていずれ成仏しなきゃいけない。


そのことはわかっていたけれど、今まで見て見ぬふりをしてきただけだった。


「それなら大丈夫だろ」


本人はケロッとした表情で言う。


「え、成仏するの!?」


梓は思わず大きな声で聞いてしまい、しまったと思って口をふさぐ。


幸い、梓の発言をいちいち気にしていた生徒はいないみたいだ。