中へ入ると数人のお客さんが遅い昼御飯を食べている最中だった。


店内にはおいしそうな匂いが漂っている。


店員に待ち合わせですと伝えて奥へ向かうと、1人の老人と言っても過言ではない男性がソファ席から立ちあがった。


梓たちを見て一礼してくる。


梓と玲子も同じように礼をして、男性に近づいて行った。


和田先生が言っていた通り、その人は70代に見えた。


「君たちが北中高校の新聞部の生徒さんかい?」


しわがれた声で質問されて梓と玲子は同時に頷いた。


「そうかい。はじめまして私は小池と言います」


小池と名乗った老人は目尻にシワを刻んでほほ笑んだ。


和田先生といい小池先生と言い、とても優しそうな印象だ。


梓と玲子はホッとして小池先生の前の席に座った。


そしてさっそく、資料を取り出す。


それは25年前のユキオさんの白黒写真が貼られているものだった。