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放課後になるのを待ち、梓と玲子、それに厚彦はバスケ部の元顧問へ連絡を入れることになった。


先に先生から連絡を入れてもらっているから話は通っている。


そう理解していても、初めて連絡を取るのだから緊張してしまう。


梓はスマホを持つ手がジワリと汗で滲んでくるのを感じた。


そして数コール目。


相手が電話に出た。


「もしもし」


それは中年男性の声で、優しそうな声色をしていた。


「も、もしもし。突然ご連絡して申し訳ありません。和田先生ですか?」


「あぁ。そうだよ。君は?」


慣れない敬語でしどろもどろになりながらも、自分の名前を伝える。


「あぁ。安藤先生から話は聞いてるよ」


今のバスケ部の顧問は安藤先生って言うんだ……。


自分で用事を頼んでおきながら、先生の名前すら知らなかったことを思い出す。


「君は新聞部なんだってね? バスケ部の歴史を調べているのか?」


「そ、そうです!」


安藤先生のおかげで、なんの説明も必要なかった。


話しはトントン拍子に進んでいき、梓たちは学校の近くのファミレスで和田先生と合流することが決まったのだった。