シャーペンは玲子の前でフヨフヨと浮いて、クルンッと回転したりしている。


「え……」


玲子の顔が一瞬で青ざめた。


「ちょっと、なによこれ」


声が震えて、悲鳴を押し殺しているように感じられる。


「こ、これはなんでもないの! マジックだよマジック!」


慌てて言うが、玲子の顔色は戻らない。


なぜならペンは梓のノートに文字を書き出していたからだ。


《俺、厚彦。実はずっと梓と一緒にいるんだ》


それは紛れもなく、男子の文字だった。


大きくて角ばっていて、クセの強い文字。


それを見た瞬間玲子がポカンと口を開け……そのまま気絶して倒れてしまったのだった。