「楓莉、きいてる?」

「えっ」

「最近ぼーっとしてること多くない?大丈夫?」




バイトを初めて1週間が経った日のこと。


今はお昼休みで、はるちゃんの机を囲んで、フユちゃんとわたしの3人でお昼ご飯を食べていた。

「もー、レタス落ちそうだよぉ」と、わたしが食べていたサンドイッチの間から逃げ出しかけているレタスに箸を伸ばしたはるちゃんが、そのままぱくりとレタスを頬張る。



「なんか悩みでもあるの?」



はるちゃんの隣に座っていたフユちゃんがわたしの顔を覗き込む。

「悩み」という言葉にドキリとして肩を揺らせば、それを肯定ととらえたフユちゃんが、「楓莉」と、わたしの名前を静かに紡いだ。