「俺のことただの幼なじみだって思ってるのも、吉川のことただの友達だって思ってんの、も。楓莉が勝手にそう思い込んで線引きして大丈夫って思ってるだけじゃん」
「…っ」
「……楓莉はなんにもわかってない。だから、ムカつく」
───何もわかっていない、
その言葉がこころに重くのしかかる。
ねえ、どうしてそんなに怒ってるの。
わからないから聞いているのに、確信的なことを言わないのは李々斗の方じゃないか。何か嫌なことがあったなら教えてほしいのに。
口元を覆っていた手をパッと離した李々斗が、気まずそうに目を逸らし、わたしから距離をとった。
開放された手首に空気があたり、すこしだけひんやりする。
ベッドに押し倒されていた身体をゆっくり起こすと、「…ごめん」と小さく謝られてしまった。



