「……楓莉がそうやって線引きするからムカつくんだろ」
背中に感じるのは、ベッドの柔らかい感触。そこから香る李々斗の匂い。視界を覆う、綺麗な顔。
どうしてか、わたしは李々斗に押し倒されてしまったらしい。
「え、……りり…?」
「……まじで、なんなんだよ」
シーツにグッと手首を押し付けられる。
動かそうとするも、男の子である李々斗の力に勝てるはずもなく、わたしの自由はあっというまに奪われてしまった。
「俺に言葉が足りないっていうなら、楓莉は危機感が足りてねーよ」
「き、危機感…?」
「俺は幼なじみだから何もしないって思ってる?楓莉のこと、女としてなんか見てないって、勝手にそんなこと思ってたりすんの?」
李々斗が何を言っているか分からない。
ただ言えるのは、彼が本当に今 わたしに対して怒っているということだけだった。



