「だいたいね、りりはいつも言葉が足りないんだよ」
「はぁ?」
「思ってること全然言わないもん。確かにわたしがお喋りなのもあるかもしれないけどさぁ…、わたしだってりりのことちゃんと知ってたいよ」
だって幼なじみだもん。ずっと一緒にいたんだもん。大きくなるにつれて 知らないことが増えていくのは悲しいよ。
「なんでも言っていいよ。怒んないし、相談にも乗るよ」
李々斗のことが大切だから。嫌われたくないし、わたしに対して嫌なところがあったならなおす努力をする。
だからちゃんと口でそれを言って欲しかった。
ただ、それだけだったのに。
「……なんだよ、それ」
「え、っ」
ぐらり。視界が揺れて、咄嗟に目を閉じる。
─── あまりにも一瞬のことだった。



