こつん、
「……ばぁか、そんな顔すんなよ」
そんな声とともに額と額が合わさった。
パチ、と目を開けると、同時に李々斗はベッドから立ち上がり、「俺 戻るから」と短く告げた。
「楓莉、次の時間もここで寝てればいんじゃない」
「…あ、えっと、そうしよーかな」
「ん。大人しくしてな」
くしゃりと私の前髪を撫でた李々斗。
「またあとでな」と言って保健室を出ていく彼の姿を見送り、ドアがしまった時ーーほっとため息をついた。
ごろん、とベッドに横になる。
ーーばぁか、そんな顔すんなよ
そんな顔って、どんな顔?
李々斗の瞳に、私はどんなふうに映っていた?
間抜けだと言われた方が分かりやすくてよかったのに…李々斗のばか。
ズキズキと痛むこめかみより、ドキドキと高鳴る心臓の方が気になって、なかなか眠りに付けなかった。