「ぬ、」

「間抜け」

「りりのせい」

「そーだね」




全然反省してない。

むしろ笑ってるし……なんだこの男。




わたしをお姫様抱っこしてくれた時はまるで本物の王子様みたいに思えたのに、今目の前にいるのはいつも通りの李々斗だ。

お姫様抱っこされていた時みたいなドキドキもない。




「ねー、りり」

「ん?」

「さっき、王子様みたいだった」




「はあ?」と李々斗が眉をひそめた。


そんな顔しなくたっていいじゃんか。
本当のことを言ってるだけなのに。



「かっこよかったってことだよ」

「あー、そ」

「耳赤かったけど」

「ちょっ、」

「あっついね、りりの耳」



李々斗の耳に手を伸ばして触れる。



熱を帯びた小さな耳は、照れるといつも赤くなる。昔から変わらない、李々斗の特徴。


李々斗のそれが、わたしは可愛くて好きなんだ。