きゃああ!と、試合中よりもよっぽど高い声が体育館中に響く。
ドキン、とわたしの心臓も大きく鳴った。
「り、りり、なんで」
「怪我人は黙って保健室って教科書に載ってたから」
教科書にそんな乱暴な書き方は絶対されていないと思うけど。
「…りり、……耳赤いよ、」
「……そーいうのは今言わなくていいじゃん」
「、けど、」
……お姫様抱っこなんて、まるで本物の王子様みたいじゃないか。
そういえば、今朝見た夢の中でも李々斗が王子様役で登場してたっけ。正夢にでもなったのだろうか。
「……ありがとう りり」
「おー」
わたしをお姫様抱っこした李々斗は、まわりの声に聞こえないふりをしてスタスタと歩き体育館をあとにした。



