「楓莉、大丈夫?」
「保健室 一緒に行こうか?」
「あー、うーん…、」
痛くないのかと言われたら答えはノー。
なんなら、かなりズキズキしている。
バスケットボールは固いし、けっこうな強さで横から衝撃を食らったのも事実。
保健室に行こうとは思っているけれど、わたしのチームはまだもう一試合残っているし、それがおわってからでもいいかなぁ。
でも、突っ立っているだけとはいえ、またもしボールを顔面に食らったら怖いし、このタイミングで保健室に行った方が良いかな……。
「おーい、そこ。何かあったか―?」
──などと考えていると、待機組がざわついていたことに気づいたのか、試合の審判をしていた先生がそう声をあげた。
試合をしていた男子や、この体育館内にいたA組とB組の生徒の視線が一斉に集まる。



