はるちゃんとフユちゃんは李々斗にフィルターがかかりすぎていると思う。
李々斗はわたしに対してかわいいなんてめったに言わない。言われたことがないわけではないけれど、それも最新の記憶ではない。
シャイだし、すぐ顔を赤くなるし、そういうところはかわいいなぁって思うけれど、それ以上にけっこう口も悪いし───…
「え、ちょっあぶな───…っ」
はるちゃんの焦った声が聞こえたと同時に、ゴンっと鈍い音がした。
横顔に食らったボールの強い衝撃。
どうやら、後ろで練習していたチームメイトのボールがわたしの頭に直撃してしまったみたいだ。
「楓莉ちゃん…!ごっごめんね!大丈夫!?」
わたしにボールをあてたであろうクラスメイトの女の子が、青ざめた表情を浮かべて必死に謝ってくる。
血が出たり動けなくなるほどでもなかったので、「大丈夫だよ」とわらって返すと、彼女はもう一度心底申し訳なさそうに「ごめんね…!」と頭を下げていた。



