はるちゃんとフユちゃんの会話を右から左にながしながら、コート内を走る李々斗をじいっと観察する。
李々斗はかっこいい。
一緒に居すぎて尊さに気づいていないとかなんとかはるちゃんには言われたけれど、べつにそんなんじゃないと思う。
李々斗は“幼馴染”であって、わたしにとっての目の保養ではない。
だから、李々斗に対して「尊い」と思ったことはないというだけだ。
小さい頃からずっと李々斗はかっこよくて、モテモテだった。何を食べて育ったらあんなにイケメンになるんだろう。
長い間いちばんそばで見て来たはずのに、わたしって案外李々斗のこと しらないのかもしれないなぁ……。
と、そんなことを考えていると、偶然こっちを向いた李々斗と目が合った。
真剣に見つめすぎたせいだろうか。
李々斗は怪訝そうに眉を顰めると、ぱくぱくと口を動かした。
――まぬけがお
………ぬ、それは聞き捨てならないぞ りり君よ。



