無気力な幼なじみと同居したら、予想外の溺愛がはじまりました❤︎








「とりあえず体温計と水持ってくるか───…ら?」




頬から手を離し、部屋を出ようと立ち上がった李々斗のスウェットの裾に、わたしは咄嗟に手を伸ばしていた。


「楓莉?」と、不思議そうに問われる。



なにしてるんだわたし……って、頭では、ちゃんとわかっていた。



李々斗はいなくなるんじゃなくて、体温計と水を取りにいってくれるだけ。

たった それだけだって、ちゃんと、わかってはいたけれど。




「……りり、やだ」

「…うん?」

「………いっちゃやだ、」




たった一瞬でも、李々斗の温度から離れたくなかった。