「本当にありがとう、色々と」
「んー、うん。でも、あれは俺のためでもあったと思うから」
改めてお礼を言うと、意味深な言葉を返された。
吉川くんのためって……一体どういうことなのだろうか。首をかしげると、吉川くんがゆっくり言葉を紡いでくれた。
「有村さんのこと、本当はちょっと、気になってたから」
「……え?」
「もちろん、今はもうそんな下心とかはないんだけどね。入学した時から有村さんのこと、かわいいなって思ってて。だから隣の席になった時はうれしかったし、バイトが同じになった時も本当はうれしかった。話してみたら楽しくて、もっと仲良くなりたいって思ってた」
「え…っと、」
初めて聞く、吉川くんの本音だった。
なんて言っていいかわからない。
好きと言われたわけではないけれど、そのようなことを言われている自覚がある。
けれど、李々斗にドキドキしていた時のような心臓の音は聞こえなかった。



