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図書室に入ってすぐのこと。
「あ」
カウンターで本を読む吉川くんの姿が目に入った。
毎朝教室で挨拶をする時みたいに「おつかれさま」と爽やかに微笑まれたので、「おつかれさまー」と、わたしも同じように返した。
「有村さん、図書室来るの珍しいね」
読んでいた本を閉じて、吉川くんが言う。「ぼはじめて来たレベルだよ」といえば、ははっと柔らかく笑われた。
吉川くんとは、学校では挨拶もするし、バイトで一緒になることもある。
けれど、交わす会話は「おはよう」と「おつかれ」と「ばいばい」ばかりだったからか、こうしてちゃんと話すのはなんだかとても久しぶりに感じた。



