あの日の李々斗のこと。
いつもに増して優しくて、素直で。
それから、キスがとっても甘くて───…
───…って。やめやめ。
思いだしただけで赤面してしまうわたし、相当重症だ。ブンブンと首を振って、恥ずかしい記憶を振り払う。
口に含んだ卵焼きは、今日も甘くておいしかった。
そんなことをしていると、イチゴミルクを飲んでいたはるちゃんが、遠くに何かをみつけたようで「あ」と声をこぼした。
「噂をすれば、だよ」
「え?」
「成水くん、この1週間告白ラッシュだもんねぇ」
はるちゃんにつられて視線を映した先の、渡り廊下。
そこにいた男女のうち、男子生徒の方が李々斗であることは、遠目から見てもすぐわかった。
恥ずかしそうに俯いている女子生徒は、上履きの色がわたしたち1年生と違うので、先輩であることはすぐにわかった。



