「お味噌汁、出来合いでごめんね。熱いから気を付けてね」

「ありがとうございます……」



部屋の真ん中に置いたローテーブルをふたりで囲むと、李々斗のおかあさんにそう言われた。いつもより慎重にお味噌汁を啜る。

李々斗のおかあさんが作ってくれるお味噌汁より少しだけしょっぱかった。




「……李々斗に何かされたのかしら」

「えっ…、いや、」

「あの子、ほら……素直じゃないでしょう」





お味噌汁をテーブルに置き、小さく俯く。

なんて言っていいかわからなかったのだ。



先程のことが蘇る。

───……キスをされた。



李々斗はたしかに素直じゃなくて、時々いじわるなところもあるけれど、そんな李々斗がはじめて隠さず気持ちを伝えてくれた。


わたしも李々斗のことを意識するようになって。キスをされたことは予想外だったけれど、嬉しいと思ったのは事実だった。



李々斗の熱が忘れられない。

ドキドキして、本気で心臓爆発しちゃうかと思った。