――コンコンコン、3回のノックで目を覚ました。



部屋の中は明るくて、目の前にはノートと教科書が散乱している。


……あれ、わたし寝ちゃったのか。


むくりと身体を起こすと、肩と腰がすこしだけ痛んだ。机の上で寝るのって、起きた時の身体への負担がすごいから気を付けていたんだけどなぁ。



「……楓莉ちゃん?」

「……んん、はぁい」

「私だけど……開けてもいい?」




李々斗のおかあさんの声だ。
いつ帰ってきたのかな。

ぐーっと伸びをしながら「はぁい」と返事をすると、カチャ……と控えめに部屋のドアが開けられた。



視線を移すと、心配そうに眉を下げる李々斗のおかあさんと目が合った。

手元にはと出来合いのお味噌汁、それから麦茶がふたりぶん乗ったトレイを持っていて、彼女がわたしの部屋を訪れた理由は、そこでなんとなく察した。