目を合わせてお互い3回瞬きをする。


今キスしたよね、したね。

目でそんな感じの会話をしたあと───それからみるみる李々斗の顔が赤くなっていくのを見た。



「っごめん、」

「…っ、」

「ちがう、いや違くないけど今のは、俺が、楓莉に勝手に」




バッと身体を離した李々斗が、真っ赤な顔を隠すように顔を逸らしソファを立つ。つられるようにわたしも身体を起こす。



「…、頭冷やしてくる」

「え、りり、まって、」

「ごはん、適当に好きなの頼んで食べてて」

「…っりり」

「リップも、せっかくつけてたのに取っちゃってごめん」




李々斗の背中が遠のいていく。


わたしはまださっきの状況を整理できていなくて、言葉がスッと出てこなかった。

ちがうよ李々斗。勝手なんかじゃなかったよ。ぜんぶぜんぶ、李々斗のためにしたことなんだから。



ねえ、だから、





「……なかったことにして、いいから」



そんな悲しいこと言わないでよ。