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「───…楓莉!」




その声で現実に引き戻される。

重い瞼をあげると、視界は李々斗の綺麗な顔で埋め尽くされていた。



「…ん?」

「、っおまえどういうつもり、まじで」

「……んん…?」




眉間にしわを寄せた李々斗。


彼の顔がなんとなく赤く見えるのは、わたしまだ完全に目が覚め切っていないせいだろうか。

ぱちぱちと瞬きをするものの、目の前に広がる光景には何の変化も見られない。



……はて、何が起きたかな。




「…、え、りりなんでそんなとこにいんの」

「…楓莉のせいなんだけど?」

「えぇ…?」



目の前には李々斗の顔。
鼻を掠める柔軟剤の香り。
顔の横につかれた李々斗の両手。




「…りり、寝込みを襲うのは悪趣味…」

「こっちのセリフだばか」