「有村さん、泣いてたから慰めた」
「は……、」
「で、送ってこうと思ったら断られた。成水が嫌がることはしたくないんだって」
「………」
「ちゃんと話、聞いてあげて」
口を挟む暇はなかった。
「じゃ、俺帰るね。またね有村さん、また明日」
そう言って柔らかい笑みを浮かべた吉川くんは、わたしと李々斗を残して公園をあとにした。
「……あ、成水。いっこ忘れてた、」
「……は?」
帰り際、吉川くんは 李々斗に何か耳打ちしていたけれど─────
「これ以上有村さんのこと泣かせるなら、俺も本気で奪いに行くけど?」
その声が私に届くことは、 なかった。



