「ホント、タイミングが良すぎるよね。運命ってやつかな」
「え、吉川くん…、」
「あ。俺が仕組んだとかじゃないよ。まじで偶然。成水と有村さん、すごいねホント」
吉川くんが言っている意味がわからなかった。
ザッザッと足音を立て、彼が───李々斗が、こちらに向かってくる。
「……楓莉、なんでこんなとこにいんの?」
わたしと吉川くんの前で立ち止まった李々斗は、わたしが知っているものよりは少し低い声でそう言った。
「りり、」
「……バイトは?」
「っ、あ、早上がりで、あの」
久しぶりに目が合ってドキドキする。
上手く言葉が出てこなかった。
「成水」
すると、不意に吉川くんが声を落とした。



