彼は危険な人だ。 好きになっちゃ、いけない人だ。 あと一歩でも踏み込んだら、きっと戻って来られなくなる。 それがわかっているのに、私はあの日から、おかしくなってしまったみたいだ。 ……あの鋭い瞳に、もう一度睨まれたい。 きみが他にどんな顔を隠しているのか、全部知りたい。 この衝動を抑えるのに、隠すのに、必死だ。 「あの人、なんか怖い噂あるもんね」 友達が声をひそめるから、え?と聞き返す。 怖い噂、って。 ぱっと脳内に浮かんだ、喫煙所の荻原くん。