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「優乃、最近荻原くんの話しないね」
休み時間、友達に言われてドキッとする。
「ああ……うん、ちょっと」
いつも「今日も荻原くんが格好良かったの〜!」と報告していた私が最近彼の話をしないから、気になったらしい。
そりゃあそうだよね。
いつもうるさいくらいに彼の話ばかりしていたのに。
「なに、冷めたの?」
「冷めたって、いうか」
真逆だ、全然冷めてない。
というよりむしろ、前よりもずっと気になって仕方ない。
ただ、気軽に人に話せるような気持ちではなくなってしまっただけだ。
私の脳内はいまも変わらず、荻原くんに侵食されている。



