「あ、あの……!」 どうしようもなく、本当のきみが知りたい。 「……荻原くんは、悪い人なの?」 振り返った彼が、私の目をまっすぐ見る。 「いい人ではないかもね」 「喧嘩とか、するの……?」 「たまに」 「喧嘩、強い、の?」 「それなりに」 私の理想の王子様像が、音を立てて崩れて行く。 その代わりに、きみに触れたい衝動が、溢れて止まらない。 完璧なきみよりずっと、本物のきみが知りたいなんて、可笑しいかな。