「ミクノちゃんのお友達?はじめまして。私、ミクノちゃんのお兄さんの彼女、鳳凰寺です。」

家に帰るタイミングが悪かった。
こっそり鍵を開けて素早く自分の部屋に籠るつもりだったのに兄とこの女は今から出掛けるらしく、運悪く玄関の所で鉢合わせてしまった。

「どうも。ミクノの親友の桃瀬です。」

一見普通に挨拶しているように聞こえるけどカリアのこの口調は怒っている時の口調だ。

「それにしても久しぶりだねカリアちゃん。昨日はミクノが迷惑かけてごめんね。」

昨日、私の話を聞かずに怒鳴り散らしていた兄もカリアの前では良い人ぶっている。
しかし、そんな兄にもカリアはさっきと同じ口調で

「いえ。全然迷惑じゃないですよ。ミクノといるとすっごく楽しいんです。ミクノみたいな妹がいてお兄さんが羨ましい限りですよ。」

と言ってくれた。