調理実習室に戻ってきた。


「りっしん!」


そう叫ぶと、圭子が飛び出していく。


りっしん?それは、莉新まこと?圭子と同じ剣道部で、男子のエースだと言っていた。


「ちょっと、圭子!」


私も慌てて追いかける。


とりあえず、凄まじい勢いで廊下を走っていく圭子は大丈夫だ。


現実世界に戻ってきたということは、死りとりゲームはクリアした。


しりとりに失敗しても、襲ってくる死り神を倒すことができれば、死は免れるのか。


今になって、鎌を持っていた手の感触が蘇る。


私自身は刺していないけど、確実に死り神の息の根を止めたんだ。


そして仮面を取った。


2人は、言葉も出せずに驚いていた。


「莉新(りっしん)!」


圭子の後に続いて教室に飛び込むと、異様なほど静まり返っている。


なぜか円形に人垣ができ、なにかを遠巻きに眺めていた。


「莉新!」


その輪の中から、祐希の声が聞こえて__。


人垣を強引にかき分けた圭子が、床に突っ伏している莉新まことに駆け寄る。


そこは、血の海だった。


ドクドクと、頭から血が流れている。


死り神に刺した脳天と同じだ。


間違いない。


莉新まことが死り神だった。