「鎌で刺すんだ!」


死り神に弾き飛ばされ、肩を痛めた様子の祐希が顔をしかめて叫んだ。


でも、そんなこと言われても…。


誰かを刺すなんて。


いくらゲームの世界だといっても、そんなことできるわけがない。


しかも、死り神に殺された村井先生と良一は、そのまま現実世界でも死んでしまった。


もし、もし現実に反映されたら?


「くっ…!」


圭子が苦しげに呻いた。


なんとか竹刀で死り神を押し留めているけど、時間の問題だ。


鎌が圭子の顔に食い込む。


そうなれば、もう圭子と笑い合うことができなくなる。


大切な親友を守りたい。


守りたいけど、でも…。


私が躊躇していた、ほんの一瞬だった。


パキっ!


死り神が、圭子の竹刀を手の力で握り潰したんだ。


食い止めるものが無くなった圭子の顔面に、鎌が振り下ろされる__。


う、動かなきゃ殺される!


動かなきゃ…!


けれど気づいた時には、私は床に突き飛ばされていた。


持っていた鎌を奪い取られて…。


グサっ!


実際はそんな音は聞こえない。


鎌の刃先は、すんなりと肉の間に滑り込んでいく。


静かに突き刺さったんだ。