暗くなった!


「け、圭子!?」


私が名前を叫ぶと、すぐ隣から「しっ!」と注意された。


重苦しい沈黙が、肩にのし掛かる。


死り神が殺しに来る!


鎌で圭子をぶっ刺し、それは現実世界にも反映されてしまうんだ。


今すぐ圭子を連れて教室から逃げ出したかったけど、暗くて何も見えない。


死り神が現れるのを待つしかないの?


どうすることもできないまま__辺りが明るくなる。


そこに、圭子がいなかった。


えっ?どこに?


きょろきょろと見回すと、いつも間にか教壇のほうに移動しているではないか。


そういえば、よくすり足で歩いている。


剣道の癖だと言っていた。


「後ろだ!」


祐希の声に振り返ると、ちょうど死り神が鎌を振り投げた!


あ、危ないっ!


しかし圭子は、持っていた竹刀で叩いて鎌を弾いた。


さっき剣道部の部室に行った時、竹刀を持ち運んでいたんだ。


まさか…このために?


死り神を倒すため?


「やっぱりこいつの狙いは失格者だ」


「えっ?」


「それを邪魔すれば俺たちも襲われる可能性があるけど、あくまで失格者を殺そうとしてる」


祐希が説明をする。


その証拠に、鎌をなくした死り神は、真っ直ぐにただ圭子を睨んでいた。