死りとりゲーム2-死り神さまの逆襲-



「ねぇ、どっちがいーいー?」


ねっとりした口調で、圭子にそう尋ねる愛海は心の底から楽しそうだ。


か弱い動物を痛ぶるかのように。


『サプリ』も『サプリメント』も同じ意味だ。


ただ、終わる言葉が【り】か【と】の違いがある。


もし【と】なら『とびら』や『とって』など、いくらでも思いつく。


でも【り】なら…。


「ねぇねぇ、愛海にどっちを言ってほしいー?」


「それは…」


圭子が口ごもる。


本当は【と】で終わらせてほしいけど、愛海が気づかないだけで、私たちは『りんごタルト』を見つけてある。


「圭子」と、私は腕を突っついた。


ここは我慢して【と】で終わらせたほうがいい。


またいつ【り】を投げ込んでくるか分からないから、タルトはその時に備えておいたほうが…。


私の考えが通じたのか、圭子が小さく頷いた。


「で、できれば…サプリメントだと、有り難い」


それだけ言うのも、声が怒りで震えているのが分かる。


圭子としては、愛海なんかに頭を下げたくないんだ。


それを我慢して、ちょっと笑顔まで作って頼み込む圭子の胸の内は、怒りで煮えたぎっていることだろう。


「サプリメントかぁー」


愛海がにっこり笑う。